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戸原 開人 アイアンマン・マレーシア レポート

昨年10月26日、マレーシアのランカウイ島で開催された
アイアンマン・マレーシアで4位に入った
戸原開人選手のレースレポートを掲載。
トップ選手ならではの、選手同士の駆け引きが満載。

✳︎尚、レポートは、自転車Factor をスポンサードしている日本代理店のトライスポーツ宛に本人
ら送られたものを、トライスポーツの許可をえて、そのまま転載しています。写真提供:戸原開人)

IRONMAN MALAYSIA 結果 4位 8時間5028


シーズン最後のレース、IRONMAN MALAYSIAに出場してきました。


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この大会は過去4回出場していて、5位、5位、3位、2位と全て上位に食い込んでいる、とても相性の良い慣れ親しんだ大会だ。東南アジア特有の暑さと湿度でも安定したパフォーマンスで走れることが自分の強みと言える。


2020年コナへ向けたクオリファイは1枠。つまり優勝者しかコナには行けないので、それを目標に臨みたいところだけど、今年は出場選手のレベルが高く、現実的に6位の表彰台を目標に臨むことにした。現実的な目標の方がモチベーションを維持しやすい。

現地にはちょいと早めの6日前に入ることで、暑さに身体を馴らす時間を確保した。順調に調整を進め、いよいよレース当日がやってきた!


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スイム 3.8km 2周回 5344

スタート位置はロープ沿いの右側を陣撮った他のプロ選手達と違い、私は左側に陣とった。私の見立てではここが最短ライン。左右に選手がいないからスタートもしやすく、昨年もこの位置から非常に良いスタートを切れたので、自信を持って選手と少し離れたスタート位置で待機した。スタートの号砲が鳴り入水し、泳ぎだすとすぐに右側スタートの選手と合流する。おぉ、第一集団に乗っている!!素晴らしい!!


ただやっぱりペースが速く、無理せず少しずつ離れていく。もっと食らいつけば良かったと今は思うけれど、今日はスイム&バイクは第二集団で走ることを想定していたから、安易に下がってしまった。結局第二集団の最後尾まで下がったところで、集団にジョインする。第二集団も自分よりやや上の泳力の選手達だと判断していたので、後ろで着いていくのを目標にしていたけれど、非常にペースはゆっくりに感じた。とても楽なので前の集団とのタイム差が心配になる。とはいえ、この集団の選手の2人はバイクでやや各上の選手だし、バイク中に脱落しないようにスイムではエネルギーを節約したい。という訳でそのまま集団最後尾で待機。人生で1番楽なスイムパートだった。


バイク 180km 2周回 4時間5006 

トランジットを抜けてシューズを履き、一緒にスイムを泳いだパックに入る。5人の集団で、PerNick2人が予想通り入っている。彼らは何度も一緒にレースを走っており、前述した通り自分よりややバイクが強い実績のある選手だ。彼ら2人と協力すれば、前の集団の強豪選手達にバイクで追いつくことはなくても、ゴールまでには調子の悪い数人を回収できるだろう。非常に良い展開だ。私は5人のうち後ろから二番目に入り、私の後ろにはNickが待機している。彼は力があるのに後ろに回っていて、非常に不気味だ。誰がパックを引いているか良く分からないけど、バイクでもスタート直後の集団のペースはゆっくりだ。


スタートから20分程度してPerが先頭に出て、少しペースが上がりはじめたので、そろそろローテーションして漕ごうと思ったところで折り返しがやってくる。そこで気づいたけど、私の前の2人が既に中切れしていて、Per10秒くらい集団の前にいた。併催の70.3の選手が多数コース上にいて、気づくのが遅れてしまった。中切れの選手では追走が出来ないと判断し、私が先頭にでてPerを追いかける。後ろのNickは力をセーブしたいのか追走には協力しない。ほどなくしてPerに追いつき、5人から2人千切れて3人の集団になった。


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よし3人で頑張ろうと思った矢先、補給ジェル等が入ったボトルが無くなっていることに気付く。どっかの段差で飛んだらしい。以後エイドでジェルをもらうことにするけど、今日はしんどい1日になりそうだ。


最初の100キロはPerと私で半々くらいで漕ぐ。Nickはローテに加わらないので、Perも私も牽制してしまい、それほどペースが上がっていない。1周目を終えて先頭集団との差を確認する。先頭2人、追走2人、その後単独走の2人の後、7位集団が我々の集団だ。その後Nickもローテーションに協力しだして3人で回すが、今度はPerが前を引かなくなってしまった。我々の集団はあまりペースが上がっていないようで、最初に集団から千切れた選手が120Kキロ地点でまた復帰してきた。


その頃から私はややエネルギーの枯渇感が出てくる。各エイドでボランティアの方が出してくれる0-1個のジェルしか取れていなかったので、補給が足りていないようだ。パックから離れるのが嫌なのでエイドをスルしてきたけれど、そうも言っていられないので、その後はエイドで止まってジェルを複数貰うことにする。補給しながらパックを追いかけ、無事に追いつき、そのまま進行する。


レース後半で昨年チャンプのウクライナのsapunovを抜く。彼は2週間前のコナに出ていて本調子ではないようだ。これで我々のパックは6位集団、表彰圏内の集団だ。ランでは絶対に表彰に上がるぞ。

その後150キロ地点のエイドでジェルを貰うために止まり、再スタートしたけれどはNickPerには追いつかず、かなりエネルギー不足を感じたため、マイペースで漕ぐ。


バイクのラストで5位のRomainがランを走っているのを見つけた。彼は実力者だけど、ランカウイではかなりの確率で良く歩く。ちなみに歩いているときはいつも私を応援してくれるいい奴だ。調子が良さそうに見えないので、彼もランで抜けるだろう。

トランジットではNickがまだシューズを履いていた。たぶんPerも近くにいるだろう。


ラン 42.195km 2.5周回 3時間0244

冷房の効いた室内トランジットを出ると、そこはもう灼熱のランコース。いいね、いいね!暑いの大好きだ。バイクで塩分の補給が出来なかったので、ラン序盤は塩分とエネルギーをやや多めに補充していく。開始5キロ程でPerを抜き、単独6位に浮上。その後Romainが歩いていたので、彼も抜き5位にあがる。前にはもう抜けそうな選手がいないので、ややペースを落として走る。ここで無理をする必要はないだろう。熱いのでエイドで止まり身体をとにかく冷やす。タイムを稼ぐ為にエイドをスルすると後でツケを払うことになる。


1周目を終えてしばらく走ると23キロ地点の折り返しによる対面地点でPotts選手が私の後ろに走っていることに気付く。抜いた記憶はないので、どっかで止まっていたのだろう。これで4位に上がり、3位は陽気なブラジル人のThiago選手。


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彼は友人で今日のランコースで会うたび声をかけてくれるナイスガイだ。彼はランも速いし暑さにも強く、私とは既に大差があるので、今日はもうこれ以上順位が上がることはないだろう。潰れないように安全走行で残りの距離を消化する。最後の対面でThiagoと手でパチンと検討を分かち合い、身体を冷やしながら、ゴールへと辛抱して走る。最後のエイドでコーラでも飲もうかなと思ったけど、ゴール後に楽しみをとっておくことにした。ラスト1キロでは今年を回想しながら走り、無事に4位でフィニッシュラインを切った。


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表彰台という目標は達成したけれど、そもそも力がないので目標を下げての結果なので、心境は微妙だ。今のレベルでここ数年を過ごしてしまっているので、このままでいいの?と自問自答している。来年はIRONMANで活躍できるよう飛躍したい。


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