ここ10年ほどは、3年に1度しか当選していなかった全日本トライアスロン宮古島大会。
それが今回は昨年に引き続き、2年連続で当選した。
2017年(55歳)
12:45:56 (858位/1552人中)Swim 1:10:15 (734/1552) Bike 6:18:37 (1105/1552) Run 5:17:04 (749/1552)
せっかく当選したのだから、今年こそという思いがあった。
「謝さん、痩せました?」と数人から言われたことからも、
昨年以上に練習したという実感はあった。
また1週間前からはテーパ期ももうけ、
疲れを残さないように注意もしていた。
仕上がり具合からして、昨年のタイムは軽く超えられるだろう。
昨年は、自己ベストの11時間45分切りを最大の目標にしていたが、
昨年の失敗を踏まえ、
Swim 1時間15分以内 Bike 6時間以内 Run 5時間以内 T1.T2 15分以内
今年は、より12時間半切りという現実的な目標タイムにも設定していた。

今年から2周回になったスイム。
バトルを避け、大外の左端からスタートして、
かなり膨らんだものの、ブイを曲がってからは、調子よく泳ぐことができた。
2週回目は、最後のブイを曲がったところから先のコースを勘違いして、
大きく膨らんでしまって1分くらいはロスしたが、
それでも2周回になったことで渦ができていたせいか、
思いの他、スイムタイムは昨年よりかなりよかった。
SWIM 1:02:26(ガーミンタイム)
T1 0:11:50
気をよくして、バイクパートへ。
この3ヶ月、最も力を入れて練習していたバイク。
宮古島合宿をした3月は1200キロは乗っていた。
3種目で最も苦手な競技ではあるが、
その分、伸びしろがあるはず。
6時間切りは当然、5時間半も行けるか?
しかも冷静であった。
「最初は追い込まず、池間島をまわってから本格的にスタートする気持ちで」
という竹谷さんの宮古島攻略コラムで書いてあったことを実践するつもりで、
あまり追い込まずに伊良部島を回った。

伊良部島大橋を渡りきって、池間島に向かう途中から異変が。
追い込んでいないはずなのに、身体全体に力が入らないのである。
しかもDHポジションをしていると、腰痛の症状が。
いつもは100キロ過ぎから出ることがあるのだが、まだ序盤だというのに。
腰痛が出ると、DHポジションを維持できなくなってしまう。
自然とスピードも遅くなる。
「うーん、なんだか調子が悪い」
池間島を回って、もう我慢ができなくなり、
池間大橋の前のトイレでバイクを降りて休んでしまった。
ストレッチをして、せっかく降りたのだから補給もしっかりして、先へと進む。
でもすぐに身体全体が怠く、力が入らなくなる。
「おかしい」という焦りだけがぐるぐると頭の中を駆け巡る。
調子の悪い原因がわかれば対処もできるのだが、
はっきりとした原因などわからない。
池間から東平安名崎までは、向かい風だし坂もある。
100キロ過ぎから失速した去年でさえ、この区間はDHポジションでガンガンいけた。
コースを周知しているだけに、この先の難所のことを思うと
「りタイア」の文字がチラつくほど。
それからのエイドステーションは、すべて降車。
ストレッチをして、身体をリフレッシュしてようやく前に進むという感じだった。

何人の選手に抜かれただろう。
だましだましマイペースで前に進むしかなかった。
エイドステーションでの滞在時間も次第に長くなる。

photo by Jero Honda
130キロ地点のスペシャルエイドでは、10分以上も滞在してしまった。
椅子に座って、預けていたタルトを頬張るも、期待していたほどの回復はなかった。
青息吐息で2週回目のコースを回り、
あと3キロほどでバイクフィニッシュというところで、
優勝したキャメロン・ブラウンがフィニッシュした花火の音が聞こえた。
ぐぐぐ。フルマラソンを終えている選手もいるというのに、
自分はまだバイクパートも終わっていない......。
BIKE 6:44:22
T2 0:11:29
バイクフィニッシュしたのは、15時少し前だった。
トランジッションで着替えていた選手から
バイクフィニッシュの制限時間は15:20だったことを聞く。
かなりギリギリだった。
それまで制限時間など気にもとめていなかったが、
ということはランもあまり余裕がないのではと、
その時、はじめて気づく。
気持ちばかりが焦って、うまく計算できないのだが、
20:30が大会の制限時間だから、
残りは5時間30分しかない。
着替えている間に、あっという間に10分は経過している。
ということは、残り時間は......。
しかも確か途中にも関門があったような。
かなり危機感を覚えた。
走り出してみると、調子は悪くはなかった。
速くは走れないのだが、キロ6分半前後では走ることができた。
それでも先を行く選手をどんどんパスすることができた。
復路の速い選手たちには、顔見知りも多い。
「謝さん、大丈夫?」
そう言われて、自分かかなりヤバい位置にいることを知る。
さらに危機感が増す。
折り返しまであと2キロくらいのところで、
歩いているTTメンバーに会った。
彼はバイクが得意で、ランはあまり練習しないのだが、
それでもどんな大会でも確実に完走をしている。
彼は、「この位置だとキロ9分で歩けば大丈夫」と告げた。
4キロ先の彼に追いつけば完走できるだろう。
ひとつの目標ができた。
それまでなんとか頑張ろうという気になった。

折り返し地点の電光掲示板は、10:36を示していた。
あと3時間弱。
往路の途中から、いつものように固形物は受け付けなくなっていた。
ハーフのエイドで禁断のコーラをはじめて口にした。
失敗すれば、確実に嘔吐するのだが、
コーラはエネルギー補給の最後の頼みの綱だった。
コーラを口に含んだとたん、吐き気が襲ってきた。
それをじっとこらえて我慢しているうちに、なんとか吐き気がおさまった。
それからは、コーラと塩だけしか受け付けなくなった。
30キロ地点で、
応援している河原勇人選手から、
「謝さん、キロ8分で走れば大丈夫」と声をかけてくれた。
宮古島大会も優勝経験のある河原選手の言葉は心に響いた。
その時点で、キロ7分半前後で走っていた。
エイドでのロスタイムを加えても、
このペースを守れば、間に合うんだという前向きな気持ちにさせてくれた。
7キロ手前あたりで、キロ9分で歩いているメンバーに追いついた。
「ちょっと遅れているから、走ったり歩いたりしている」とのこと。
その言葉に、まだまだ完走の確信は持てなかった。
でもこれ以上、速く走ることはできない。
キロ7分半が精一杯だった。
完走を信じて、もう淡々と走るしかない。
繁華街に入ると、いっぱいいっぱいながらも、次第に力が漲ってくる。
残り1キロというあたりで、何かが弾けて、
スピードが上がってくる。
最後の坂もスピードを緩めずに走ることができた。

photo by Jero Honda
そして競技場に入り、フィニッシュ。
制限時間8分前のゴールだった。
RUN 5:12:29
TOTAL 13:22:36
○ガーミンの記録
https://connect.garmin.com/modern/activity/2644206871/5
○公式記録
Swim. 1:02:27. 743/1572
Bike. 6:56:11 (T1含む) 1449/1572
Run. 5:24:03 (T2含む) 735/1572
Total. 13:22:41. 1174位/1572人中
むむむ。
バイクの不調の原因は、いまだにわからない。
結局、バイクが苦手なノロ亀旅烏、健在。
まったく進化していないじゃないかぁ。
進化どころか退化しつつある。
苦手意識が、さらに加速したのである。
しかしながら、すれ違う選手や沿道の応援の励ましの中、
最後のランで制限時間と闘いながら、
最後まで粘れたことは良しとしよう。
すれ違う選手や沿道の人たちの応援は、大きな力となった。
声をかけてくれた、みなさんありがとうございました。
だからロングはやめられない。
